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【尾久の原公園】2月の自然観察会はたくさんの鳥を観察できました!
- 尾久の原公園
いつも尾久の原公園をご利用いただきありがとうございます。
2月16日は「冬のカモ」と題した自然観察会を開催いたしました。
この日は暖かく風穏やか、絶好の観察日和となりました。
コーディネーターは荒川区環境課の本間さんです。
園内を周ると、おや、「キリリリリッ」「コロコロ」というこの鳴き声は……
はらっぱ広場に入る木道を渡ってすぐの木の枝にカワラヒワです。
河原でよく見られることからこの名がありますが、山地から市街地まで広く分布しています。
「ヒワ」とは穀物の「ヒエとアワ」の意味です。
実際にはヒマワリやタンポポなど植物の種子や果実を好むそうです。
[翼を畳んでいるときは全体に渋い色合いですが、飛翔すると鮮やかな黄色が風切羽の根本と尾羽の根元に広がります]
湿地に目を向けるとシダレヤナギにはモズが。
オスがいろいろな鳥の鳴き真似することから「百舌(モズ)」と名付けられたとか。
昆虫やカエル、トカゲ、ときには小鳥も捕食する獰猛なハンターです。
[モズと言えば「はやにえ」。捕らえた獲物をなわばり内の小枝などに刺して、エサの少ない冬に備えて保存食にすると考えられています]
[観察会とは別の日に、スタッフがシモツケの剪定を行っていて発見したカマキリの死骸。これはもしやハヤニエ?]
トンボ池のあえて刈り残した陰に、尾久の原公園の盟主、バンがおりました。
黒と褐色の体に、特徴的な赤い額とくちばし、くちばしの先は黄色、黄緑色の脚が目立ちます。
水田に佇む様が「田んぼの番人」のようだと、この名になったと言います。
開けた場所に出てくることも多く、朝早い、まだ園内に人の少ない時間帯には、ほぼ毎日見られます。
[太くガッシリした脚は湿地や水田の泥地歩くのに適しています。ただし”水かき”がないので泳ぐのは苦手]
同じく刈り残しにはアオサギ、コサギ、ダイサギのスリー・ショット!
この冬は降水量が少なく、観察会の日にはかなり水位が下がっていました。
水が溜まっているところでエサを取りやすいことが、サギたちがよく見られる理由と推測されます。
逆に潜ってエサをとる種類のカモたちは、園内では見かけませんでした。
[上からアオサギ・ダイサギ・コサギ。サギ類は他種も含めて水辺の林に巣を作るそうで、当公園でも身を寄せあう姿がよく見られます]
カモが園内に見られないので、隅田川に移ってみます。
対岸の離れた場所に浮かぶ無数の固まりは……ホシハジロです!
そしてカワウも交じっていますね。
ホシハジロはオスの茶色の頭と白い背中が特徴。
潜水が得意で、種子、葉、芽、地下茎、魚類、両生類を食べていると思われます。
ヨーロッパにかなり広く生息していて、冬季になるとアフリカ大陸北部、中近東からインドにかけて越冬します。
[これだけ多く集まっていますが、実はIUCN(国際自然保護連合)と東京都のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」となっています]
こちらは川を泳ぐヒドリガモ。
オスの赤っぽい褐色の頭の上に白い線が入るのが特徴です。
緋色のカモという意味で「緋鳥鴨」の名があります。
他のカモより海上でも見かけられます。
[ヒドリガモはカモの中でも陸上の草を好むのが特徴。人がいない足立区側の堤防の上まで上がってきて草を食む姿が見られます]
目を転じれば左にセグロカモメ、右手にカワウ、水中にはオオバンが。
カワウはほぼ全身が黒色ですが、背中が茶褐色です。
川だけはなく海辺にも生息します。
海にはお仲間のウミウもいますが、カワウは木の上に巣を作るのに対し、ウミウはあまり木には登らないそうです。
オオバンは名が示す通り、前出のバンよりも一回り大きく、顎とくちばしが白いので見分けがつきます。
泳ぎが苦手なバンと違って、脚の指にそれぞれ水かきがついていて潜って水草を食べます。
さらにお隣りにはキンクロハジロ(左)とホシハジロが泳いでいます。
キンクロハジロはオスの白黒カラーと後頭部の弁髪が特徴です。
水生植物、昆虫、貝類、甲殻類、軟体動物、魚の卵等々、食性は雑食です。
水面を動き回って獲物を探し、潜水して捕食します。
参加者から「とてもよく似たスズガモとの見分け方は?」との質問がありました。
頭の後ろに弁髪(「冠羽」と言います)があれば、キンクロハジロでほぼ間違いないのだとか。
【観察会の終了後】
本間さんがコガモも見つけました。
開けた水辺よりも、狭い水路のような場所を好むので観察会では諦めていたのですが……。
人のいない隅田川の足立区側だからでしょうか。
写真では大きさの違いが分かりずらいでしょうが、名前の示す通り、日本で見られるカモの中ではもっとも小さいカモです。
きれいに撮れたセグロカモメも載せておきます。
セグロカモメは背中と翼上面は明るい灰色で、頭部、首、腹、尾は白くなっています。
くちばしは黄色く、下くちばしの先端近くに1つだけ赤い斑点があります。
次回観察会 ⇒ 3月30日(日)10:00~11:00
「早春の野鳥と草花」
帰北前のツグミ等の冬鳥や、桜の花に集まる鳥、早春の草花を観察する予定です。
ふるってご参加ください。